4月23日に日経コミュニケーション主催の「ライフログ・サミット2010」に行ってきました。
その日のワールド・ビジネス・サテライトでも取り上げられていたようですね。
参加の目的は、WEBと密接な関係にある通信機器メーカーの法務として、今後間違いなく増えるであろう、この手の法務相談に対応できるように、最低限必要な知識、トレンドを押さえておくため。
プログラム毎に、学んだことや考えたこと、印象に残ったことをアウトプットしておきます。基本的に「3)ライフログの利活用と法的リスクへの対処」以外はメモ程度です・・・。
1)始まったライフブログ・プラットフォーム争奪戦
講師:ITジャーナリスト 佐々木俊尚 氏
・ライフログ隆盛の要因は、「DBの巨大化」と「マーケティング業界からの要請」。
・米国では医療ライフログが熱い。
・個人の電子カルテや健康情報をネットワーク化
・国民ID
2)情報大航海プロジェクトでの取組みと成果
講師:NTTドコモ 法人事業部モバイルデザイン推進室 担当部長 佐藤一夫 氏
経済産業省が推進している情報大航海プロジェクトの一環で実施された、次世代情報提供サービス「マイ・ライフ・アシストサービス」(詳細はサービス概要をご参照)の3年間にわたる実証実験について。
携帯電話を利用して個人の日常における移動や消費等の行動ログを取得、行動パターンを認識して、個人の行動に即して最適な情報や提案を行う、その個人にとっての「空気の読めるケータイ」を目指したとのこと。
個人のプライバシーにどう配慮しながら、このプロジェクトを進めたのかが興味深かった。
・セルフマネージャ機能(利用者自身で公開したく無い行動ログを削除できる)
・取得した行動情報は、時間・空間・個人などの各要素を「抽象化」し、匿名性と多様性を確保し、行動モデル化(非プライバシー情報)することで行動情報の2次利用を実現した。
また、「利用規約の見える化」という取り組み(図やマンガを使用して利用規約をわかりやすくしたもの)も興味深かった。
3)ライフログの利活用と法的リスクへの対処
講師:牧野総合法律事務所弁護士法人 弁護士 牧野二郎 氏
日本においてライフログを取得し、利用する事業を展開する場合において留意すべきことは、主に以下3点。
・「個人情報保護の問題」
・「プライバシーの問題」
・「表現の自由、思想の自由への影響(監視社会化することで間接的な萎縮を招くおそれ)」
しかし、現時点ではいずれも未だ明確なルールがあるわけでは無い。取得する情報が個人情報保護法上の「個人情報」にあたるのであれば、法令を遵守する必要はある。しかし、プライバシーや表現の自由〜に関しては、ライフログの取得・利用に際しての明確なルールは無いと言って良い。
では、「明確なルールが無い現状で、ライフログを利用したサービスを展開しようとする事業者はどうすればよいか?」というと、紛争を避けるという観点では、
「サービスの利用者と一緒にルールをつくるという姿勢」が必要になる。
Googleのストリートビューに関する訴訟は、知る限り、1件程度しか起こっていない。
サービスの「提供者」と「利用者」という関係ではなく、新しいサービスを一緒につくる「仲間」になってもらう。事業者は、サービスをまずβ版として提供し、サービスに対する利用者の声を聞きいれながら、「どこまでやってもいいか」という線を、一緒に引いていく。
このように利用者を「敵」にするのではなく、「仲間」になってもらうことで、訴訟リスクを下げることが可能になる。紛争を避けたいのなら、サービスの利用にあたって利用希望者と不争契約を結ぶという手もある。
また、サービスの利用規約についても、利用者にちゃんと読んでもらえる、内容を理解してもらえるように、難しい言葉でびっしりと文字の書かれた利用規約ではなく、図やマンガを使用した新しい利用規約を考える必要があり(一般の利用者が読めない、理解できないような利用規約は訴訟時に、その有効性を主張できるか微妙な部分が少なからずある)、結果的に訴訟リスクの低減にも繋がる。ドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」における利用規約の見える化が参考になった。
・・・
質疑応答の時間があったので、前から疑問に思っていた、「世界中の人々からライフログ等の個人情報を、クラウド上に保存する場合、どの国の法制度に基づいて保存、管理すべきか?」という質問もしてみた。
牧野氏曰く、「わからない」とのこと。
クラウドにおける準拠法は微妙な問題なのだろう。そこでやはり上記のような考え方が重要になってくるなと思った。クラウドにおける準拠法の考え方については、国際的な枠組みでルールが策定されれば良いのだけど、そんなことあるかなぁ。
クラウド時代における準拠法は、今後も動向に注目しておこう。
4)リアルタイムなライフログをビジネスに活かす、ツイッター活用最前線
講師:ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長 斉藤徹 氏
Twitterの現状と企業におけるTwitter活用事例、それを助けるサービスなどを色々紹介してくれました。
・GigaTweet リアルタイムに全ツイート数を表示。
・tweetfeel ブランドに対するツイッターユーザーのネガポジ感情を判定。
5)リアル世界への進出を目論むグーグルの戦略
講師:GClue 代表取締役社長 佐々木陽 氏
Googleの予測によれば、2020年には無線接続デバイスが500億〜1000億台に達するとのこと。
まぁこんなところです。ライフログ・サミットは面白かったけど、参加費は2万円くらいが妥当なんじゃないかと思った。
その日のワールド・ビジネス・サテライトでも取り上げられていたようですね。
参加の目的は、WEBと密接な関係にある通信機器メーカーの法務として、今後間違いなく増えるであろう、この手の法務相談に対応できるように、最低限必要な知識、トレンドを押さえておくため。
プログラム毎に、学んだことや考えたこと、印象に残ったことをアウトプットしておきます。基本的に「3)ライフログの利活用と法的リスクへの対処」以外はメモ程度です・・・。
1)始まったライフブログ・プラットフォーム争奪戦
講師:ITジャーナリスト 佐々木俊尚 氏
・ライフログ隆盛の要因は、「DBの巨大化」と「マーケティング業界からの要請」。
・米国では医療ライフログが熱い。
・個人の電子カルテや健康情報をネットワーク化
・国民ID
2)情報大航海プロジェクトでの取組みと成果
講師:NTTドコモ 法人事業部モバイルデザイン推進室 担当部長 佐藤一夫 氏
経済産業省が推進している情報大航海プロジェクトの一環で実施された、次世代情報提供サービス「マイ・ライフ・アシストサービス」(詳細はサービス概要をご参照)の3年間にわたる実証実験について。
携帯電話を利用して個人の日常における移動や消費等の行動ログを取得、行動パターンを認識して、個人の行動に即して最適な情報や提案を行う、その個人にとっての「空気の読めるケータイ」を目指したとのこと。
個人のプライバシーにどう配慮しながら、このプロジェクトを進めたのかが興味深かった。
・セルフマネージャ機能(利用者自身で公開したく無い行動ログを削除できる)
・取得した行動情報は、時間・空間・個人などの各要素を「抽象化」し、匿名性と多様性を確保し、行動モデル化(非プライバシー情報)することで行動情報の2次利用を実現した。
また、「利用規約の見える化」という取り組み(図やマンガを使用して利用規約をわかりやすくしたもの)も興味深かった。
3)ライフログの利活用と法的リスクへの対処
講師:牧野総合法律事務所弁護士法人 弁護士 牧野二郎 氏
日本においてライフログを取得し、利用する事業を展開する場合において留意すべきことは、主に以下3点。
・「個人情報保護の問題」
・「プライバシーの問題」
・「表現の自由、思想の自由への影響(監視社会化することで間接的な萎縮を招くおそれ)」
しかし、現時点ではいずれも未だ明確なルールがあるわけでは無い。取得する情報が個人情報保護法上の「個人情報」にあたるのであれば、法令を遵守する必要はある。しかし、プライバシーや表現の自由〜に関しては、ライフログの取得・利用に際しての明確なルールは無いと言って良い。
では、「明確なルールが無い現状で、ライフログを利用したサービスを展開しようとする事業者はどうすればよいか?」というと、紛争を避けるという観点では、
「サービスの利用者と一緒にルールをつくるという姿勢」が必要になる。
Googleのストリートビューに関する訴訟は、知る限り、1件程度しか起こっていない。
サービスの「提供者」と「利用者」という関係ではなく、新しいサービスを一緒につくる「仲間」になってもらう。事業者は、サービスをまずβ版として提供し、サービスに対する利用者の声を聞きいれながら、「どこまでやってもいいか」という線を、一緒に引いていく。
このように利用者を「敵」にするのではなく、「仲間」になってもらうことで、訴訟リスクを下げることが可能になる。紛争を避けたいのなら、サービスの利用にあたって利用希望者と不争契約を結ぶという手もある。
また、サービスの利用規約についても、利用者にちゃんと読んでもらえる、内容を理解してもらえるように、難しい言葉でびっしりと文字の書かれた利用規約ではなく、図やマンガを使用した新しい利用規約を考える必要があり(一般の利用者が読めない、理解できないような利用規約は訴訟時に、その有効性を主張できるか微妙な部分が少なからずある)、結果的に訴訟リスクの低減にも繋がる。ドコモの「マイ・ライフ・アシストサービス」における利用規約の見える化が参考になった。
・・・
質疑応答の時間があったので、前から疑問に思っていた、「世界中の人々からライフログ等の個人情報を、クラウド上に保存する場合、どの国の法制度に基づいて保存、管理すべきか?」という質問もしてみた。
牧野氏曰く、「わからない」とのこと。
クラウドにおける準拠法は微妙な問題なのだろう。そこでやはり上記のような考え方が重要になってくるなと思った。クラウドにおける準拠法の考え方については、国際的な枠組みでルールが策定されれば良いのだけど、そんなことあるかなぁ。
クラウド時代における準拠法は、今後も動向に注目しておこう。
4)リアルタイムなライフログをビジネスに活かす、ツイッター活用最前線
講師:ループス・コミュニケーションズ 代表取締役社長 斉藤徹 氏
Twitterの現状と企業におけるTwitter活用事例、それを助けるサービスなどを色々紹介してくれました。
・GigaTweet リアルタイムに全ツイート数を表示。
・tweetfeel ブランドに対するツイッターユーザーのネガポジ感情を判定。
5)リアル世界への進出を目論むグーグルの戦略
講師:GClue 代表取締役社長 佐々木陽 氏
Googleの予測によれば、2020年には無線接続デバイスが500億〜1000億台に達するとのこと。
まぁこんなところです。ライフログ・サミットは面白かったけど、参加費は2万円くらいが妥当なんじゃないかと思った。