ある広告人の告白[新版]ある広告人の告白[新版]
著者:デイヴィッド・オグルヴィ
販売元:海と月社
(2006-06-15)
販売元:Amazon.co.jp
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どこかで「一度は読むべき」と紹介されているのを見て、購入したものの、本棚で長期熟成されていた本。

本書の内容は以下のとおり。
「現代広告の父」による広告人のための教科書。「売る広告」を作るための技術とは? 広告人はそれぞれの仕事の最先端でどう考え、どう行動するべきか? 広告の基本的な考え方、戦略、テクニックが凝縮した一冊。(Amazonより

「広告会社の経営手法」、「強烈なコピー作成法」、「視聴者の心を動かすTV・CMの条件」などが具体的に書かれており、その考え方は「広告」の他にも通じるものが多いと感じた。ソーシャルメディアにおける企業アカウント運営にも参考になると思う。


以下本書で気になったところ。


本書で気になったところ


クリエイティブな人間は並外れて観察力が鋭く、平均的な人間に比べて、とくに正確な観察(自分に正直であること)を重視する。p49
彼らは真実の一面のみを表現することも多いが、その場合も、それを生き生きと描き出してみせる。彼らが表現するのは、往々にして人が見過ごしている部分である。強調する点を変えたり、一見不釣り合いな表現によって普通は人が気づかない部分を探り当てる。彼らも人と同じようにものを見るが、同時に人と異なる見方をすることもある。p50

本書で引用されていた1958年の研究論文(カリフォルニア大学人格評価研究所フランク・バロン博士)の内容。「あるふれた物事でも、どこに焦点をあてるかで、まるで別のものになる」と考えているので共感した。意識的に「焦点」を変えられる人が、人と異なる見方ができる人だと思う。そしてそうなるためには、自分の中の「観点」を増やしていく必要があると思う。

広告会社にとってもっとも恐ろしいことは、クライアントとのつながりを、たった一人の個人的な絆に頼ることだ。もし大手メーカーの社長が、あなたの広告会社の社長が気に入ったからと雇ってくれた場合には、大急ぎであらゆるレベルの人との絆をこしらえることだ。将来にわたって仕事が保証されるのは、あらゆるレベルでクライアントとつながっているときだけだ。p123
間違いをしでかした場合には、まずそれを認めること、それもクライアントから非難される前に認めることが大事だ。p125

これは広告会社に限った話ではないと思った。顧客とのつながりを太くすることが、将来につながる。

市場でのポジションを決めるのは、結局のところ商品のささいな差ではなく、全体としてのブランドの個性なのだ。p182

ブランドを立たせること、その重要性。

作家として著名なオルダス・ハックスリーは、かつて広告を書いてみようとしたことがあるが、「広告では、ほんの少しでも文学の香りをさせることは致命的失敗につながる。広告を書く人間は叙情的であってはならないし、あいまいであってもならないし、どんな意味であっても難解であることは絶対に許されない。誰もにわかるように書かなければならないのだ。芝居や演説と同じで、よい広告は即座に理解され、直接心を打つものでなければならない」と書いている(『Old and New』ハーバード&ブラザーズ/一九二七年)。チャールズ・ラムやパイロンも広告を書いたことがある。バーナード・ショー、ヘミングウェイ、マーカンド、シャーウッド・アンダーソン、フォークナーもしかり。しかしこのうちの誰も、広告ではまるで成功しなかった。p198

『「強烈なコピー」作成法』での一文。コピーは単純明快に、単刀直入に、情熱的に書くこと。まわりくどい言い回しや難解な言葉は使うと読書の反応が悪い。文学的な香り匂わせるコピーは読者に「めんどくせっ」ってスルーされるように思う。

ギャラップ博士は、カメラクラブで賞をとるような繊細で微妙で構成の美しい写真は、広告では効果がないことを発見している。効果的なのは、読者の好奇心をかき立てるような写真だ。それを見て「これはどうなっているんだ?」と思い、その答えを見つけるためのコピーを読むーーー。こういうしかけにしなければならない。p202
リサーチが繰り返されるたびに、「イラスト」よりも「写真」の方がずっと商品が売れることが確認されてきた。写真の方がより多くの読者を惹きつけ、より強く食欲に訴える。より記憶に残り、クーポンを切り取る人も多い。そしてより商品が売れる。写真が現実を表すのに対し、イラストは空想の産物で信頼性が低いのだ。p205

繊細で微妙で構成の美しい写真よりも読者の好奇心をかき立てるような写真、イラストよりも写真の方が読者を惹きつける。