Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 2012年 03月号 [雑誌]Casa BRUTUS (カーサ・ブルータス) 2012年 03月号 [雑誌]
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(2012-02-10)
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カーサ・ブルータス3月号で、「Appleは何をデザインしたのか!?」という特集が組まれており、Appleのデザイン部門を率いる、インダストリアルデザイングループ担当上級副社長のジョナサン・アイブ氏のインタビュー記事が掲載されていた。

インタビュー記事自体はたった2ページなのだが、氏が語る自身そしてAppleのデザイン哲学は、とても示唆に富んだものだった。また、同じく本書に掲載されている斎藤由多加氏と佐藤可士和氏との対談記事も面白かった。

本書で印象に残った箇所を抜粋し、メモと一緒に残しておきたいと思う。

印象に残った箇所


ジョナサン・アイブ氏のインタビュー記事(p32-33)より
私がとても大事にしていることは、自分たちが成してきた結果と共に生きるより、より学んでいくということです。-p32
本当にシンプルなプロダクトというのは、明確かつ秩序ある方法でそのものが何であり何に使われるものなのかを伝えてくれるものだと思います。-p32
そのプロダクトに、あるいは問題の解決方法に、明確な必然性があるか、ということです。その必然性に辿り着くには、とてつもなく険しいチャレンジがあり、行ったり来たりを何度も繰り返さねばなりません。そうまでして私たちが必然性にこだわるのは、そうすることで、"市場にしっぽを振るようなデザイン"といった余計なものを完全に排除したいと思っているからです。デザインとはデザイナーの自己表現の場では決してありません。私たちは、ほかの方法を取るのが不可能であり、完全に必然性があるといえる、本当にシンプルなプロダクトを作りたいと思っているのです -p33
私たちは、ほかの方法を取るのが不可能であり、完全に必然性があるといえる、本当にシンプルなプロダクトを作りたいと思っているのです -p33
アップルにおけるインダストリアルデザインとは、チーム一丸となって取り組む創造的なプロセスの一部といえます。そこでチームとして働くことが刺激的なのは、創造的なプロセスが必ず一つの考えから始まり、やがてそれが一つの会話になるからです。するとそれはより包括的なものになっていく。そしてその会話から生まれたものに形を与えることこそが、プロダクト開発において最もドラマチックな点となるのです -p33
どこか新しい、これまでと違うからといって、それが良いものだとは限られないのです。デザイナーとして私たちがやろうとしてきたことは、新しいものや違ったものを作ろうというのではなく、ただより良く(=better)しようということです。ゴールは"より良く"であり、"新しい"でも"違う"でもないのです。これこそ私たちのデザイン哲学の最も大事な点であり、長所だと考えています -p33
見るものすべてが、私に考える一瞬を与えてくれます。デザイナーであるかどうかを定義するのは、自分が世界をどう見るのか、によると私は思っています。インスピレーションとは何かと考えるとき、それが何か特別なものである必要はありません。驚きを、あるいは挫折感を与えてくれるもの、その両方からインスピレーションを受けることも可能なのではないか、そう思うのです。怒り狂い、何かに憤慨しているときでも、美しさと驚きに満ちた場所にいるときでも、インスピレーションを得ることができる。大事なのは、どこにいてもインスピレーションを受けることはできる、ということです。自分が目にするものすべてから何をどう理解するか、それが大事なのです -p33
車やエレベーターの中であろうと、自然の中であろうと、どこにいるのかが重要なのではなく、目にしたものをどう感じるか、それこそが大事なのです -p33

斎藤由多加氏と佐藤可士和氏との対談記事(p56-61)より
佐藤 ジョブズほど、デザインを世の中に知らしめた人はいませんからね。スティーブ・ジョブズの一番の功績は「デザインをデザインしたこと」。一般の人たちに「デザインってこういうことだ」って広めたことです。デザインに興味がない人も、iPhoneがデザインされていることは一目でわかるじゃないですか。製品の外観やOS、内部の基盤や、広告や経営だってデザインしまくった。デザイナーのためのデザインからデザインを解放して、大衆化させた功績を一番尊敬しています。 -p61


思ったこと


観点を増やす

アイブ氏のインタビュー記事の中で、”ゴールは「新しい」でも「違う」でもなく「より良く」”だと述べる氏に対し、記者が”「より良く」するためのデザインのヒントはどこから来るのか”と質問しているのだけど、それに対して、氏は「自分が目にしたものをどう感じるか」が大事だと答えている。

僕は、自分の持つ観点をもっと増やしていかないといけないなと思った。

「どう感じるか」とは「(感じとったものから)どんな答えを導き出すか」ということだと思う。だけど、答えを導き出す前の「感じとる段階」で、そもそも何かを感じとるのに必要な観点を持っていなければ、何も感じとることはできない。

1つの観点しか持っていなければ1つしか感じとれないし、10感じとるためには10種類の観点を持っている必要がある。また、1つの観点から導き出された答えよりも、複数の観点から導き出された答えの方が優れていると思う。だから、自分の持つ観点を増やしていかないと導きだす答えの質も高まらない、と思った。


Appleは何をデザインしたのか

本書の特集の表題でもある「Appleは何をデザインしたのか!?」に対する答えとしては、本書の中で佐藤可士和氏が「スティーブ・ジョブズの一番の功績」として述べていた「デザインをデザインしたこと」という言葉が、個人的にしっくり来た。