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2月18日(土)に開催された「ゲーミフィケーションワークショップ in 名古屋(講師:中村貴弘氏)」に参加してきました。

昨年ちょくちょく耳にした「ゲーミフィケーション」ですが、「サービスにゲーム的な要素を加えて、継続的に利用してもらうような仕掛けでしょ?」程度の理解しかなかったので、ちゃんと勉強するいい機会だと思って参加することに。

とても勉強になったので、当日のメモと思ったことを書き残しておこうと思う。

※当日の資料はコチラ(より詳しい内容)
※合わせて読みたい(togetter「ゲーミフィケーションワークショップin名古屋まとめ」)

当日のメモ


▼ゲーミフィケーションとは
・UX(ユーザー体験)とIA(情報設計)の話し。
・目標達成の手続きや作業が複雑な場合においてもそれを完遂させることや、ユーザーの継続利用促進に「ゲーム的なコミュニケーション」を活かすこと。

▼ゲーミフィケーションの誤解
・トロフィーあげたりするご褒美制度やゲームっぽく見せること=ゲーミフィケーションという理解や、TVゲームだけを参考すればというのは誤解(カードゲームはすごい)。
・実際やろうとすると、企画初期から準備・緻密な計算が必要である。
・ゲーミフィケーションは集客には向かない。(他にも、「継続利用が不要」「購入単価が低い」「内容が単純」「好みが激しい」「共有体験を持ち難い」ものには合わない)

▼なぜゲーミフィケーション?
・(ゲームは)ユーザーとのコミュニケーションが上手い。

▼なぜ上手くなった?
1)ゲームは内容の6割を経験してもらわないと正当に評価されない
・ルールやシステムを全て経験できるのはゲームの6−7割進んだところ
・コンシューマーゲームなら15時間。
・ソーシャルゲームは5分程度。(「最初の5分」でひと通りを経験させる。)

2)ゲームはUX、IA、UIの先駆者(FFⅤを例に)
・色の意味(ダメージ:白、回復:緑色)
・戦闘システム:アクティブタイムバトルシステム
・攻撃アニメーション、音
ジョブチェンジシステム

3)ゲームは難しいことを簡単に見せるのがうまい(スーパーマリオブラザーズを例に)
・初めての横スクロールアクション。
・右にしか行けない→「ゴールは右にある」。何をすればいいのか理解させる。

▼面白いゲームとは?
調味料、素材、出汁のバランスが良いゲーム。
・調味料(グラフィック、サウンド、エフェクト、世界観、ストーリーなど)
・素材(ルール、バランス、フィードバック(体験)など)
・出汁(システム)

ゲーミフィケーションは「素材」の構築方法と、「調味料」の使い方をゲームから学び、転用する手法。

▼ゲーミフィケーションの肝要
1)目的の明確・多段化と目標の段階化
・目標→レベリング=進行・習熟具合
・目的→ステージング=行動指針、モチベーション換気

2)ルールと作業の単純化と拡張余地の設計
・ユーザーが行う「作業」はなるべく単純化する
・ただし、「単調化」しないように徐々に「単純な作業の選択肢」を増やし、段階的にすることで作業を複合化、多様化する。(ソーシャルゲームが苦手なところ)

3)気づきと憧れの促進
・「ルールや作業の拡張性」や「目的の多段化」は、ユーザー自らが展開の予測がしやすくなり「遊び方や使い方を工夫(=気づき)」しやすくなる。
・上記を早期から考えておくことでユーザーにおける目標達成や目的増加への希望(=憧れ)が生まれやすくなり、利用回数の増加につながりやすい。

4)体験、感想、話題の設計
・わかりやすい体験や感想は話題にしやすい。
・わかりやすく、感情が想起される体験や感想を用意することでユーザーに快感を与え、継続利用を促す。
・ユーザー自身がクチコミや参加勧誘をしやすくなる。
・コンシューマーゲームでは「気づきと憧れ」の要素を増やしたほうがいい
・ソーシャルゲームでは「体験、感想、話題」の要素が大事

▼参考サイト
http://gamification.jp/
ゲームのちからで世界を変えよう会議(Facebookページ)
ゲーミフィケーション・ラボ(Facebookページ)

思ったこと


▼ゲームってすごいね。
開始5分くらいの「ゲーミフィケーションとは」で「俺の理解浅っww」と実感した。

「ゲーミフィケーションの肝要」とか、全体的にとても参考になったんだけど、個人的には「(ゲームは)ユーザーとのコミュニケーションが上手い。」や「ゲームはUX、IA、UIの先駆者」という部分が、スッと腹落ちしたので、印象に残ってる。

というのは、TVゲームの話になってしまうけど、(FFとか)自分の過去のゲーム体験を振り返ると、「確かにジョブとかアビリティとか、色んな設定・ルールが組み込まれていたけど、説明書とか無くても雰囲気でどうすればいいか理解して、ゲームやりながら覚えていったなー」と。

そういう風に説明書が無くても使い方とかいろんな物事をユーザーに「理解させる」ことできるのはアップル製品くらいだと思ってたけど、「ゲーム」もそうだったんだなと。そういう視点でゲームを見ると、そのUIやIAの考え方って色々転用できそうだなと。例えば企画書つくる時とかね。

いやー、ゲームってすごいいろいろ詰まってるんだな。

▼フィードバックが大事。
どうして説明書が無くてもユーザーに理解させることを可能なのかを考えてみたけど、「フィードバックによる(ユーザーの)学習」がポイントなんじゃないかと思った。

ユーザーは、自らのアクションに対して、ゲームが行うフィードバック(Aボタン押すと決定されるとか、Bボタンでダッシュとか、毒食らうと体から変な緑の泡が出てHP減るとか、フィールドから街に入ると画面切り替わるとか、街で情報収集すると何かストーリー進むとか、どこかに落ちると死ぬとか、もう色んなのもの)を通じて、操作方法や何をすればいいのか、何をしてはいけないかを学んでる。

ユーザーの特定の動作に対してフィードバックを行うことでその動作の意味を理解してもらう手法やそのフィードバック方法(ユーザーが、Webサービス利用時に一連の動作途中に別の動作をしようとしたら画面上にコメントを出すとか、マウスポインタの絵を変えてみるとか、次にユーザーが押すべきボタンを光らせるとか)は、色々なところで試してみたいし、どんなフィードバックが効果的か、色んなフィードバック方法を考えてみようと思った。